できもしない恋のよう(の雑誌部分)

 ──世間では、『しろボン派』『くろボン派』に二分されていますが、ご自身はどう捉えていますか?
「どうでもいいことです。そもそも立場が違う。比べるものではありません。特に気にはしていません。娯楽を求める人々が作り出した一種の遊び、みたいなものでしょう。
 親衛隊長の立場から言えば、あまりそういう対立する構図が出来るのは好ましくありません。私よりも、王子の方が支持を集めて然るべきだと思います」

 ──ご当人同士は仲がよろしいんですか?
「さあ。
 先ほども申し上げた通り、立場が違いますので、仲良くするしないの話ではありません。もちろん、関係が良好であるに越したことはありませんが。
 私は王子の御目付役も任されておりますので、時には厳しく接さねばならない時もあります。ですので、王子には恐れられているのではないですか」

 ──普段はどういうやりとりを?
「挨拶はしますよ。
 ただ、私にも仕事がありますので、四六時中一緒にいる訳ではありません。向こうからくれば応対する、といった感じでしょうか。
 割としょっちゅうやってくるので、結果的にずっと話していることもあります」

 ──くろボン隊長から見て、しろボン王子はどんな王子ですか?
「良く言えば分け隔てのない、悪く言えば距離感のない人物ですね。
 時々相手が王子だってことを忘れます。王子も私が隊長であることを忘れているんじゃないですか」

 ──そういえば、同い年でしたね。
「年相応、という意味では、向こうの方が普通だとは自覚してますよ」

 ──寄せられた意見では、『大人びたところが素敵』というものもありましたが。
「そうですか。
 元からの性格なんで、何とも言えないですね」

 ──他には、『颯爽と歩く姿が格好いい』とか『声がドキッとする』とか、『先頭で隊員たちを引っ張っている姿に一目惚れした』とかあります。
「他人からどう見られているか、ということには興味がないので、何とも答えようがないのですが、好意的に受け止められるのは悪くはないですね」

 ──ここで質問を変えて。普段のお仕事を簡単に教えてください。
「親衛隊は王族の身辺警護が主な主任務ですが、前身は守備隊であったので、地球全般の警備任務と、それぞれ連邦国の警備統括の役割も持っています。
 簡単に分けると、訓練、巡回、警備。大事しないためには、日々の備えが重要です。
 具体的には明かせませんが、まあこんなところでしょうか」

 ──では、一日はどのように?
「朝起きて、アーリーワークに出掛けます。王宮の裏山を三周。二・三十分くらいですね。付き合いたいという隊員が一緒に連れていきますが、大体一回目で挫折しますね。私のペースに合わないようです。
 そういえば王子ともありましたね。最後は徒歩より遅かったですけれども、一応きちんと完走しました。
 後は、汗を流して朝食。執務室でざっと書類に目を通し、早番遅番の引き継ぎ。
 書類仕事は午前中に済ませます。来客は午後から。
 特になければ親衛隊の指導にあたります。午前は対人、午後は機甲戦を想定して訓練します。己の個人的な稽古はそれらがすべて済んでからですね。
 あとは夕食、風呂、残った仕事が合ったら済ませて、少し休憩の後就寝。おおよそこんなところでしょうか。
 もっとも、大体邪魔……失礼、予期せぬ事態が起きるので、この通りにいかないことも多々あります」

 ──『予期せぬ事態』とは?
「申し上げられません」

 ──それでは、休日はどのようにして過ごされますか?
「平素おざなりにしている日常の細々としたことを済ませます。掃除とか、買い物とか、溜まった本を読んだりとか」

 ──隊長でも買い物をする?
「しますよ。自炊ですから」

 ──得意料理なんかあります?

「そんなの聞いてどうするんですか。
 普通です。適当にざっくり野菜を切って、鍋に放り込んでます。大体シチューですね」

 ──では、くろボン隊長の人となりが伺いしれたところで、ズバリ、お付き合いしている方はいますか。
「いません。作ろうとも思いません」

 ──そうですか。
「そうです」

 ──では、相手が女性でも男性でもいいので、遊びに出掛ける時の、いわゆるデートプランを組むとしたら、どうしますか?
「男でも女でも……どういうことですか。
 まあいいでしょう。
 どこにも連れていく気はないです。たまに、気分転換で近所を巡るくらい。
 食事は共にしたいですね。
 それくらいですか」

 ──尽くしてくれる人が好き?
「そういうのは重荷に感じる性質なので、放っておいてくれれば。大概のことは、自分一人で何とかなりますし。
 構ってくれと来る奴は論外ですね」

 ──ドライな関係ですね。
「伴侶の必要性を感じませんから」

 ──それでは、最後に皆さんにメッセージを。
「日ごろから任務への協力にお礼申し上げます。
 まだまだ至らぬ点もあるかとは思いますが、遠慮なく申し出て頂いて、よりよい親衛隊を作り上げていきたいのでよろしくお願い致します」

没理由:
面白みが足りないので