なにいろの花束
紋章編くろしろ小説。
お題はas far as I knowさんよりお借りしております。
どうせ君は君だけのもの
彼が、手紙などよこしたことは、一度もない。
宇宙ごと愛せるような距離
「どうして、織姫ボンと彦星ボンって、一年に一回しか会わないんだろうね」
刹那はこんなにうつくしいのに
……俺は英雄になりかった。
泣いてたってわからない角度
運が悪い。そう、全部運が悪いだけだ。
見出された子
「くろボンはおれに何の用なの?」
抱かれ方しか知らないくせに
もしかしたら、初めからそういうつもりだったのかもしれない。
お前は夢などみなかった
どうしたことだ。あのくろボンが、目の前にいる。しかも、こんな夜に。
ぬくもりに名前をつける
「今日は出かける約束だったろう。お前が寝坊するから、起こしにきてやったんだ」
寓意暗喩を鏤めて
なんだって、こんな日に寝坊しちゃうんだろう! オレったらいっつもドジなんだから!
次の花が咲くだけのこと
「お疲れ様、隊長」
天上界には友人がいてね
……あいつがこの様を見たら、なんと言うか。怒るか、泣くか、嘘つきとでも言われるか。
やがて新たな不幸となって
事の発端は件のくろボンのせいだ。
紅玉がどんなに赤くても
しんとした夜の闇に、紅く円が照らされている。
この手は離さないといけないね
くろボンがそう歌いだした時、身の丈七割ほどの主は眼下でその小さな頬を大きく膨らませた。
鳥にだってなれる子なのに
これを飛べるのは、宇宙でただ一人しかいない。
もう少し傍ですれ違えたら
ああなんで、今日が終わってしまうんだろう!
できもしない恋のよう
特徴が酷似している。誰に? そりゃあ、この国の王子と、この国の親衛隊長にである。
君がいちばん魔法に似てる
「どうしても……隊長、君と戦わなくてはならないのか」
なにを模ることもなく
ときどき、お二人の身分を、忘れてしまうことがありますよ、とセレスは頷いた。
いつでもきみはひとりきり
最初から、本物のくろボンなんていなかったんだ!
昇って墜ちればお星さま
俺は、頭を打ったらしい。
抱かれ方を忘れられたら
オレ、何か怒られるようなことしたかなあ?
かなしみは柩のなかへ
ああ、こんなことなら、もっとたこ焼きたらふく食べておくんだった。
楽園では罪になるので
「来年もお祭りに来られますように」
私を殺してみたくはないか
しろボンは死んだ。殺されたのだ。
食べてくれなきゃ悪戯するぞ
「ああ、そうそう、それ。トリックオアトリート!」
真珠は濡れてひかるもの
……そっか、オレ追われてるんだった。
薄氷のように焦がれて
くろボンが鉄格子の前まで歩みを進め、格子を隔てて、しろボンの前に立った。
世界旅行者の愛し方
「──あんた、やっぱり、それは恋人だよ」
芽がでて膨らんで花が咲いたらさようなら
あれは本当の王子だったのか。
天からの号砲
瞼の裏から閃光が離れた時には、目の前にはくろボンがいた。しかも、自分が覆いかぶさる格好で。
君がヒロインだったとき
今、しろボンの頭には銃がつきつけられている。
見出され失われた人
報告によれば──研究所が爆発四散したのは、5日前のこと。
お好きないろの色眼鏡
ところで、どちらへいらっしゃったんですか?
もしもこれが初恋なら
結局、好きなのですかきらいなのですか。
やわい寶石
──ねえ、くろボン、覚えてる?
すくない逢瀬のさいご
「こんにちは! キミが新しい守備隊員だね。」
ひとつの光とたくさんの影
向かい側には、人影が座っていて、聞き覚えのある声で、俺に呼び掛けている。
二度目は私が言いましょう
──そういえば、このドアを叩く音が、いつの間にか日常になっている。
なにいろの花束をきみに
なんで来なかったんだ。くろボンのこと、ずっと待ってたのに。
りりしく去ってちょっと泣く
くろボンが、地球を去ることになった。
正しく云えばさよならになる
「お前は、なにもわかっちゃいない。」
交わした沈黙の数
しろボンとくろボンは視線を交わすことなく、しかし向かい合って座っていた。
月がないので星がみえます
しろボンさんとくろボンが、二人揃っていなくなってしまったのです。
たかが季節がめぐるくらいで
どうか、皆が、あいつが幸せであったらいいなと思う。
どうせ涙をぬぐってやることもできないのだから、 私はせめて、 君を燃やす火になりたかった。
予想通り、そこにしろボンはいた。
