背景、くろボン様。
手紙読みました。いや、本当はオレあてじゃないのかもしれないけど、オレはオレあてだと思ったので、勘違いさせてください。
くろボンは、手紙をくれたつもりはないかもしれない。けれど、これには秘密があります。
くろボンが行ったというお店の人が(誰かは言えません、守秘義務というやつです)、くろボンのこと覚えていて、使っていたという便せんを見せてくれました。そこにはうっすらとペンのあとがあったので、その紙をもらい、なぞってみたのです。
それで、いても立ってもいられなくなって、手紙を書きました。
くろボンに、聞きたいことがあるのです。
まず、手紙に『俺が、貴方に恋懸想しているそうです』と書いてありました。
けそうって、なんのことかわからなくて、辞書で調べました。つまり、『恋をしている』ということですね。『恋』と『けそう』(むずかしい字なので、あまり書きたくありません)、ほとんどいっしょじゃないですか。
なんで、わざわざ『恋』って字を消したのですか。
それと、もうひとつ。
つづきに、『俺もそんな気がしてきました』って書いてありますね。
黒くぬりつぶされて、ぐちゃぐちゃになっていましたけど、なんとか読めました。
なんで消してしまったのですか。結局、好きなのですかきらいなのですか。
そもそもこれは誰あてなのですか。
もしかしてもう送ってしまいましたか。
地球、って文字は見えたというので、地球の誰かだとは思いますが、父上かもしれないし、セレスやパラスかもしれないし、三将軍の誰かかもしれないし、オレが知らない誰かかもしれない。
けれど、手紙がとどいたって話は、誰からもきいていません。途中で行方不明になっちゃったのかもしれないけど。オレのところにもとどいていません。
だから、やっぱりオレあてじゃないかなあ、と思っています。
合ってたらうれしいし、違ってたらかなしいです。
もしかしたら、オレが思うような意味で、書いたんじゃないかもしれません。
なので、オレは答えを知りたいので、くろボンに戻ってきてほしいです。
ワガママだってわかっているけど、直接聞きたいです。
できれば一緒にごはんを食べましょう。くろボンはあけびのヨーグルトを食べたと書いてたけど(あけびってあんな字なんだね)、地球にもおいしいごはんがあります。
本当は、くろボンがまだ地球がにいるときに、やりたかったことです。今からでもなかよくなりましょう。
いつにするか、ということですが、『また』や『今度』じゃ、いつまでたっても来そうにないので、今月中に来てください。
くろボンもじゅんびがあると思うし、この手紙がとどくのに、時間がかかりそうなので、今月最後の日曜日にしましょう。朝の七時、南門の、見張り台の下。
おいしい朝ごはんが食べられるところがあります。クリームソーダがおいしいです。くろボンは、クリームソーダ飲みますか? まあ、それはそのときお話ししましょう。
では、絶対来てくださいね。待ってます。
そのとき手紙のお返事もください。
