スリくろ親子とジャック

「だらしない大人と世話焼きな子ども」、という関係性にツボって、爆外伝でできないか、と考えたときに、「スリンガーが子くろをさらって養う」という、なんとも業が深いところに行きつきました。

けれど、スリンガーにはくろをさらう理由がないんですよね。己が身でなんとかしちゃうし。
かえって他人など邪魔になるだけです。ましてや子ども。
たとえ人質だとしても、およそ彼の美学に反すると思うので、よっぽどのことがない限りやらないと思うのです。明らかなメリットがないと。

スリンガーにメリットが生まれる状況。
じいちゃんが、魔の手が迫っていることを察知して、双子の片方だけでも生き延びるように、スリンガーに、最新アーマーの技術と引き換えに預けたとか。

となると、今度はじいちゃんがなぜスリンガーに預けたのか、という問題が生まれます。

スリンガーは、腕は立つし、非人道的な行いもまあしないと思うんです。目的以外に、いたずらに力を誇示するのはナンセンス、とかなんとかで。
けれど、悪党であることは自認しているので、そんな男に大切な孫をはたして預けるのか? という疑問。
よっぽど切羽詰まった状況だったのか……。

それでも仮に、くろをスリンガーに預けたとしましょう。

くろはねー、ヒーローにあこがれるお年頃ですし、悪事でごはん食べてるスリンガーを、それはそれは嫌うでしょうねー。
当然反発するんですけど、ちびっこひとりでは生きていけないことも身をもって知ってしまって。家出とかして。
そんな嫌いな奴に守られている自分にも、腹が立つのです。

だから、自分の身は自分で守れるように、スリンガーに教えを乞うのです。「いつかお前の寝首をかいてやる」と。首あるのか知らんけど。
その過程で、スリンガーにも彼なりの美学、信念があって、それは一般的な「良識」とは違うけど、いわゆる「スリンガーなりの正義」、人にはさまざまな価値観があることを学ぶのです。

スリンガーに育てられたくろがどうなるのか。
まあ、ヒリューを弟子にはしなそうですね。

というのも、スリンガーが敵に情けをかける性質でないので、くろもまた、悪ヒリューちゃんを、完膚なきまで叩きのめしそうなので。
あ、それでもヒリューちゃんついてくるかな。純粋だもの。

そんなんなんで、しろたちからの第一印象は最悪です。
が、話の流れでくろの過去を知ることとなり、お互い徐々に理解しあっていく……。というのが本筋。

一方、じいちゃんのもとに残ったジャックはどうなるのか。
じいちゃんが何らかの理由(凶刃に倒れるか、力及ばず尽きるか、どちらにしろ志半ば)で他界して、ひとりぼっちとなります。
それでも、正義のためと思えばこそ、孤独に耐えてきたのです。

ところが、ある時、くろが今どう過ごしているのかを知ってしまいます。
悪党(に育てられた身)でありながら、友だちと仲良さそうにしている……。

兄ちゃん大好きっ子が、ここへきて、裏返って憎さ100倍。
その心の隙を敵に突かれてしまいます。

そして、世界を揺るがす兄弟対決に発展するのです。

正義の志を継ぎながら、悪に堕ちたジャックと、
悪と共にありながら、正義を貫こうとするくろ。

救いは! 救いはないんですか!!

で、この対決、どちらが勝つのかというと、くろなんですよね。
決して主人公補正があるからではなく。

くろの弱点、性格的な欠点といえば、かたくなで、自分が信じたもの以外、理解しようとしないところにあると思うんです。潔癖といいますか。
だから、人それぞれ大事なものがものがあり、汚いところもあり、要は酸いも甘いも知りぬいたくろって、最強だと思うんです。