それを言うならさ、くろボンだってオレに付き合ってくれてるだろ。いっつも忙しいって言ってるくせに。
ええとね、いつのことかなぁ。くろボンが守備隊に入りたての頃にね、遠くから訓練を見たことがあるんだ。中庭で、他の隊員たちと一緒に整列して、型の練習しているのを見たことがある。
たまたまだったかな、中庭を通りかかったのは。なんでか忘れたけど、向こうの別塔に行きたくて廊下を抜けたんだ。あ、守備隊の人が訓練してるー、くらいにしか思わなかったけど、列の端っこにいるくろボンを見て、足が止まった。なんでだろうな、確かに隊員の中では一番に若かったけど、同じ歳くらいの人は他にいたし、それでもなんでか目についたんだよね。
多分、だけどね。その頃から怖い顔してた。今だっていつも眉間にしわ寄せてるじゃない。昔からそうだったよ。他の若い隊員さんたちは、額に汗してさ、キラキラしてて、よし頑張るぞ! って意気込みが伝わってきた。もちろんくろボンだって頑張ってるのはわかったんだけどね、なんというか……覚悟っていうのかな、顔が違ったもの。目をぐっと寄せてさ、睨んでる感じでね。オレもお城に友達があまりいなかったから、くろボンみたいな子がいたら、間違いなく声を掛けに行くはずなのに、まったく近寄れなかった。だから逆に、ずっと目に留まったのかもしれない。
噂には聞いていたんだ、入隊テストをトップで合格したヤツがいるって。でもオレには、守備隊なんて昔から当たり前にあったから、それがどれだけすごいことがよくわからなかった。オレと同い年のすごいヤツがいる、ってことしかわかってなかったんじゃないかな。ただ、守備隊はボンバーファイターに乗れるじゃない。ああ、あいつはいつかボンバーファイターに乗って、空を飛び回れるんだろうなーって、羨ましいと思ったね。
それで時々思い出すんだ。今でも廊下でくろボンを見かけた時。遠くからオレが見ていて、でもくろボンは気づいてない時。……もしかしたら気づいていて、わざと知らないふりしているのかもしれないけど。今は隊長になって、セレスやパラスの前に立って、一番先頭を歩いてる。その時にね。ああ、くろボンってちっとも変わってないなぁって。
前と同じように目を細めて、眉間にしわを寄せて、ほっぺたのこのあたり、いっつもこわばっててさ。廊下で足音がしたらすぐにわかるね、すごい澄んでて一定のリズムで響き渡るからさ。隊長のお出ましかー、って思うもの。颯爽とマントをたなびかせ、隊長登場! ってね。
その時のくろボンってすごく格好良いんだよ。
だから本当はずっと、くろボンと友達になりたかったんだと思う。
最初は怖いなと思ってたけど、憧れみたいなのもあった。どんなこと話すんだろう、どんなことしてきたんだろうって。なかなかきっかけは掴めなくて、しばらくよそよそしいままだったけど、今ようやくやったぜ! って思ってる。
だって話して初めてわかったことが多いもの。冥王星から出てくる時、今ほどワープがしっかりしてなくて、滅茶苦茶船酔いしたーとかさ、実は老けてみられること気にしてるー、とかさ。オレはイケメンだと思うけどなぁ。
仲良くなれて嬉しいし、って言っても……一方的かもしれないけど、オレはくろボンと友達になれたと思ってるし、すごい嬉しい。性格が合わないって言うけど、だからこそオレの知らない話とか聞ける訳だし、ねえ? つまんないと思ったことはないよ。くろボンがどうしても嫌だ、って言うなら考えるけどさ。
でもくろボンだってこうして相手してくれてるし、まんざらでもないんじゃないの? どうなのよ。っていうか聞いてる? 途中からなんか耳塞いでいるように見えるんだけど。目もこっち向けないし。聞いたのはそっちだろ!
えぇえぇ、楽しいですよ。いっつも「なんでそんなことも出来ないんですか」だの「まったくものわかりが悪いですね」だの、仕舞いには「王子失格」とまで言われるけど。言ってない? 顔が言ってる。なのにさ、くろボンもやっぱり子供だなーって、言い合いっこしてる内に思えてきて、どうでもよくなってきちゃんだ。
あーあ。隊長の時は格好良いのにねえ。ふふふ。
文体が他とかぶってしまった
