「しろボンを、捨ててきてほしい」
くろボンは耳を疑った。振り仰いだ先に鎮座するこの人物は、確かにそう言ったのだ。
当のしろボンは、玉座の下で、恭しくひざまづいている。
つい先刻のことだ。しろボンが、「大事な話がある」と、謁見の間に呼び出してきたのは。
いつもなら、歯牙にもかけないくろボンだが、この時ばかりは、断るのをためらった。あまりにしろボンが、神妙な、深刻な面持ちをしていたからだ。
そうしてついていった先に居たのが、玉座に堂々と居座る彼──このお方こそ、本当の『王子』であるのだと。
しろボンは、影武者だったのだと。そういう話であった。
「──意味が、わかりません」
くろボンは、思わずそう呟いた。
「おや? 理由は先ほど説明したのだけれどね」
新王子は、頭をかしげる。
「私が生まれたころ、この国には予言があった。『惑星がひとつに並ぶ時、大いなる厄災が大陽系を襲うだろう』。あまり私も体が強くなくてね。それで父上は、私を外に逃がし、影武者を立てたわけだ。それがこのしろボンさ」
王子は、あごでしろボンを指し示す。
「しかし、約束の時が来ても、厄災など現れなかった。おかげさまで私も体が丈夫になってね。聞けば、父上はご病気になられたと言うじゃないか。となれば、後継者たる王子が政務を取り仕切りなければならない。王は二人もいらないだろう? 争いの火種になる。だからこそ、しろボンを捨ててきてと言うのさ。もう彼の役目は終わったんだよ」
至極当然と言わんばかりに、無邪気に、彼はそう言う。「殺さないだけ、ありがたいと思ってほしいな」
その言葉に、しろボンが少し震えたのが見えた。
くろボンは、この王子に、嫌悪を感じずにはいられなかった。
見た目は、似ているかもしれない。しろボンと同じように、薄い体の色。背格好もほぼ同じ。年も同じくらい。ただ、その顔つき──人を値踏みするような、見下す視線が、気に食わない。
勤めぶりはどうあれ──しろボンは、これまで王子として、矢面に立ってきたのだ。それを、ぽっと出の、よくわからない人物に、ねぎらいの言葉もなくほっぽり出される。犬ロンか猫ロンでさえ、そんなことが許されるのだろうか。
それが顔に出ていたらしい。王子は、こちらを見て、目を丸くした。
「どうにも、承服しかねる、といった顔だね」
くろボンは言葉を発さなかった。彼は続ける。
「確かに、いきなり主君を鞍替えなんて、むずかしいとは思うけれど──」
「お前は、どうなんだ」
王子の言葉をさえぎって、くろボンはしろボンに投げかける。「このままでいいのか」
しろボンは先ほどから黙っている。
使い捨ての道具みたいに扱われて、それでいいのか。
いつも、城内での騒ぎの種は、このしろボンだった。しょっちゅう行方不明になるし、しょっちゅう寝坊する。そのたびに守備隊が駆り出されるのが、くろボンには、腹立たしくて仕方なかった。
助けたら助けたで、何事もなかったかのように、「ごめんね、いつもありがとう」と、屈託なく笑うのだ。それで、なんとなく、満たされた気になって、諦めてしまうのだった。仕方ない、と。半ば、許してさえいた。
それすらも、影武者としての演技だったのか──納得がいかない。
いつものような、屈託のない笑顔はなかった。しろボンのその表情は、落日のように、暗くかげっている。
「オレ、は」
しろボンが口を開いた。
「今まで、いっぱいおいしいもの食べられたし、いっぱい優しくしてもらったり、それでよかったなと思ってる」
しかしその声は震えている。
内心恐れていたのだろう。この日が来ることを。どんなに幸せを感じたとしても、それが薄氷の上だということを。いつも心のどこかで怯え、過ごしてきた孤独を思うと、さしものくろボンでも、いたたまれなくなった。
「この通り、しろボンも納得していることだし」
王子は、あっけらかんとそう言い放った。何もわかっちゃいない、いや、わかろうとしないのだ──知らず、くろボンは、この王子を睨みつける。王子もきょとんと、不思議そうにこちらを見る。
ややあって、王子は、パッと手をたたいた。
「そうだ、それなら、しろボンを君に下げ渡そう!」
妙案というように、うんうんと頷いた。
「どうやら、君はしろボンにご執心のようだし。君が養ってあげなよ。君も忙しいだろう、お手伝いの一人や二人、必要なんじゃないかな」
ふざけるな!
叫びだしそうになるのを、寸前でこらえる。
何から何まで腹立たしかった。その気を遣って『やっている』態度、さも当たり前のように玉座に腰かける図々しさ、機微を読み違える勘の悪さ。俺が睨んでいるのにはすぐ気づくのに、しろボンが震えているのには気づきもしない。敵意には敏感だが好意には鈍感だ。
俺がしろボンに執心? まあいいだろう。百歩譲って、そういうことでも。だからといって、『くれてやる』とか、あまつさえ、小間使いにしろとか、人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!
くろボンは一歩踏み出した。王子の脇に控えていた兵士が、合わせて槍を構える。彼らはこの王子に直接仕える兵士だ。くろボンの命は聞きやしない。
「……受け賜りました」
そのまま、くろボンはひざを折った。
「しろボンは、私の好きにして構わないのですね?」
「ああ、そうさ」
「では一度、彼を送り届けてまいりますので、控えさせていただきます」
くろボンは王子に頭を下げると、ゆっくりと、しろボンの前に立った。
眼下で丸くなるしろボンは、恐る恐る顔を上げた。
「ほら、行くぞ」
足元がおぼつかない彼に、手を貸してやる。一応は手を取ったが、まったく握り返されないので、無理やりに掴んで引っ張りあげる。
そのまま足取り重く、謁見の間を後にした。
***
「あの、くろボン、ありがとう」
重い扉が閉まり切って、辺りが静寂に包まれた後、しろボンがおずおずと口を開いた。
「礼を言われる筋合いはない」
そう冷たく言い放つと、くろボンは、しろボンを促すようにして、一人で先に歩き出した。
「あ、待って」
しろボンもあわてて後をついていく。
「どこ行くの?」
「グレイボン博士の部屋だ」
「博士の?」
「ああ」
しろボンの問いかけに、目線を合わせないまま答える。
「悪いが俺には仕事がある。お前を送り届けることは出来ん」
「そ、そうだよね……」
後ろから弱々しい声が聞こえた。
「あ、でも、オレ一人でだいじょうぶだよ?」
「さっき俺に引き上げさせて、やっと立てたのは、どこのどいつだ」
「うっ」
しろボンは言葉に詰まったようだった。
どこが大丈夫なものか。風でも吹いたら、綿毛のようにどこか吹き飛ばされてしまいそうなくせに。
腹立たしい。あのよくわからない王子も、このいつもと違う王子も。
「とにかく待ってろ」
博士の部屋に着いて、くろボンは足を止めた。
ベルを鳴らし、博士の応答も聞かない内に、また一人で先に行く。
「あ、あの」
背中から声がする。
「王子のこと、よろしくね!」
この期に及んで、あんな奴の心配をするとは。どこまでお人好しなんだ。自嘲気味に笑いが漏れる。
くろボンは応えることもなく、城の中へ消えていった。
***
「ただいま戻りました」
数刻ののち、くろボンは謁見の前に戻ってきた。相変わらず、新しい王子は、玉座に居座っていた。よほどその座り心地が気に入ったと見える。
「おかえり。もういいのかい?」「ええ」
王子は大して関心がなさそうだった。なにやら紙を手にしている。少し目を落とした後、再びこちらに顔を向ける。
「ならさっそくだけど。私から君への初仕事。親衛隊を新設しようと思うんだ。仮にも一国の長がだよ、これだけの兵士で身を守れるわけがない。君の守備隊から、人をよこしてほしい。もちろん隊長は君でいいよ、君の名は宇宙に知れ渡っている。それだけで抑止力になるだろうからね」
「ええ、まったく、その通りだと思います」
くろボンは頷きながら、ゆっくりと歩み寄った。
王子の緩んだ顔が、真顔に戻る。何かの気配を察し、近衛兵士は、こちらに槍を向ける。しかし歩みは止めない。いよいよ、射程に入った時、その切っ先が突き出された。
穂先がビーダマをかすめる。交差した槍の片方を掴み、もう片方を払いのける。そのまま引っ張り槍を奪いとり、体勢を崩した兵士を蹴り飛ばす。奪った槍をすぐさま回し、再び突き出される槍を絡めとる。カランと相手の槍が落ちる音がした時には、すでに相手を突き飛ばしていた。とどめに、まとめてビーダマを一発。柱に叩きつけられた兵士たちは、もう起き上がれそうにない。
「ひッ」
王子が小さく悲鳴をあげた。席を立とうとするのを、すかさず槍で制す。
「誠に同感です。たったこれしきの相手で、私を止めようとするなど」
「誰か、誰か──!!」
「無駄なことです。この城は、すでに私が掌握しましたから」
「まさか……!」
王子は言葉を失う。
かわいそうに、顔はみるみる青白く、震えあがっている。もちろん、同情などしないが。湧き上がってくるのは、呆れたような、物悲しいような、ただただ哀れな感情だ。
「貴様! 私は王子だぞ! このようなことをして済むと思ってるのか!」
「はッ」
くろボンはせせら笑った。
「王子ともあろう人間が、そんな三流の脅し文句を言うとは。くだらない。誰が貴方を王子と思ってるんです? そんな人間は、どこにもいませんよ」
「そんな……」王子は言葉を詰まらせたが、すぐに懐を探り始めた。それを見咎めたくろボンは、すばやく穂先を滑らせて、その手に軽くあてた。
「何をするおつもりで?」
「証拠、証拠がある!」
ちらとその手つきを目で追った。何やらきらめいているのが見える。宝石の類だろうか。王族の証、誰かから受け継いだものだろうか。
まあ、そのようなものは関係ないのだが。
くろボンは穂先をずらした。王子はいそいそと何かを取り出す。押し付けるようにして見せてきたのは、首飾りだった。
高価な品だということは、一目でわかった。中央に、親指くらいの大きな宝石。その周囲の額には、細かい意匠が散らされいる。裏には、まさしくビーダ王国の紋章が掘られていた。
王家の紋章は、許可なく勝手に使用してはならない。贋作の可能性もあったが、この作りからして、相応の身分でないと、これを頼むことすらできないだろう。おおよそ、本物の可能性が高かった。
くろボンがそれを見つめるので、王子は勝ち誇ったように、頬を上気させた。しかし、くろボンは、嘲笑まじりにそれを一蹴した。
「……それが?」
「なっ」
この反応は予想もしなかったのだろう。顔をこわばらせ、信じられないという目で、こちらを見ている。
「隊長なら知っているだろう! この紋章がどんなものか!」
「貴方は肝心なことを忘れていますね」
ひとつ息をつき、くろボンは続けた。
「確かに、貴方は王子かもしれません。けれど、この国の君主は未だゴールデンボン王陛下です。蟄居なさっているとは言っても、まだ権限の移譲は起こっていない。議会の承認が必要です。法律上は、まだ陛下が君主ということですよ? 貴方が好き勝手していいはずがありません」
「その国王が死んだから、私が出てきたんじゃないか!」
「おや」
くろボンと王子の目が合わさる。しまった。王子はそんな顔をした。視線があちらこちらにさまよう。がくがくと震えだす。今さら口を押さえても、もう遅い。
寝かせた刃を立てる。少しでも身じろぎすれば、うっかり切れてしまう。
先ほどの威厳に満ちた様子はどこへやら。まさしく、虚栄という衣を着た、「裸の王様」だったということか。王子は、ああ、とか、うう、とか、言葉にもならないうめきを漏らすのみだ。
「どうして陛下が亡くなってるのですか?」
くろボンは、静かに問うた。
「実のところ、陛下の居所は、われわれ守備隊にも知らされていないのです。議員の話だと、静かなところで、ご静養なされているのだとか。医者も傍についているので、心配しなくてもよい、とのことでした。さて。もう一度聞きますが、どうして陛下が亡くなられているんだ?」
「それは──」言いかけて、王子は答えなかった。答えられるわけがないのだ。
「つまりこういうことか? ただの一般人が、国家元首を誘拐、拉致、あろうことか──」
「違う! 私は王子だ!」
王子が叫ぶ。それをくろボンは冷ややかな目で見つめた。
「だから、誰がお前を王子だと思っているんだ。少なくとも、国民はお前の顔など知らない。お前が真実王子であろうとなかろうと、周りからすれば、ただの一般人」
くろボンは言葉を切った。
「ただの反逆者だ」
構えていた槍を下げ、石突で床をカン、と鳴らした。扉が開き、守備隊の面々が、ぞろぞろと入ってくる。
もはや、王子は抜け殻だった。
この様子を見るに、彼も本当に『自分は王子だ』と思っていたのかもしれない。周囲の誰か、悪意によって、利用されてしまっただけなのかもしれない。国王に手を出している以上、情状酌量は出来ないにしても、ただただ、痛ましかった。
「なんでだ……なんで誰も私を、認めてくれないんだ……」
隊員に脇を抱えられ、玉座から引きずり下ろされるとき、王子は無抵抗だった。失意に満ち、声は蚊の鳴くようにか細い。気づくだろうか、自らが、先ほど捨ててこいと言ったしろボンよりも、みじめな姿であることに。
「お前を認めない理由? そんなの簡単だ」
はた、と王子がこちらを向く。くろボンははっきりと告げた。
「お前が相応しくないからだ」
***
しばらくして、部下たちから「ゴールデンボン王を保護した」と連絡があった。ひどく痛めつけられたようだが、命に別条はないらしい。
最悪の事態も可能性として考慮していたが、まあまずないとは思っていた。かの王子は始末したつもりでいたみたいだが、中枢部を掌握するまでは、人質として残しておくのが得策だ。おそらく内通者の思惑だろう。
黒幕は誰であったのか。あれは本当の王子だったのか。しろボンは本当に影武者だったのか。
それもいずれ明らかになっていくだろう。
それに結局はどうでもいいのだ。どうせ王子と呼べるのは、あいつ以外あり得ないのだから。
後始末に追われ、グレイボン博士の部屋を訪れるのに、だいぶ時間がかかってしまった。ベルを鳴らすと、「ほいほい」と声がして、目の前のドアが横滑りする。
「あ、くろボン、おかえり~!」
くろボンの姿を認めると、しろボンは、持っていたカップを脇机に置いて、こちらに走り寄ってきた。思った以上に元気そうだったので、少々面食らってしまう。ついさっきまで、よく似た悲壮あふれる表情を見てきただけに、余計に。
「もう仕事終わったんだ?」
「ああ、まあ、ひと段落着いた。が、これは……」
しろボンの腰かけていたソファーの周りには、ジュース、ポテトチップス、漫画の山と、思い切りくつろいだ跡が見受けられた。ちょっと前は、こちらが引っ張りあげなければ、立ち上がりも出来なかったくせに。驚き半分、呆れ半分で、言葉が紡げなくなってしまう。
「これはこれは。おつかれさま」
「すみません、いきなり、こいつを押し付けて……」
くろボンはグレイボン博士に軽く頭を下げる。
「こいつって何! ……って、確かに、もうオレは王子じゃないのか」
しろボンは怒るような素振りを見せたが、はた、と取り直した。王子じゃないのか、その言葉に、哀しいとか苦しいだとかという感情は感じられない。
「元気そうだな」
「まあ、ここに来てからも、ちょっとは落ち込んでたんだけどね……」
えへへ、と苦笑いしながら頭をかく。
「くろボンと一緒なら、そんな哀しいことでもないかなって」
照れくさそうに、しろボンは言った。
「今まで全然、仲良しなことしてこなかったからさ。一緒にごはん食べたり、一緒に遊んだり、……まあ、くろボンは仕事で忙しいだろうから、いっつも、って訳にはいかないだろうけど。それにさ、オレは王子でなくなっても、みんなに会えない訳じゃないしさ。むしろ、めんどくさい行事やら何やら、しなくても良くなったしね! いいことなのかも! って思ったら、何かうれしくなっちゃって」
……はあ。くろボンは返答に詰まった。
呆れもある。このお気楽思考に。立場を追われる、否応なしに野に下るというのに、何故こんな、あっけらかんと出来るのだろうと。けれど、先刻、あの王子を前にしていた時の、青ざめた顔──思い出すと、ああ、こっちの方がいいな、と安堵もする。この方が、こいつらしい。
「あ」
だがしかし、くろボンは思い出す。
「残念ながら、それは叶いません」
「え?」
「あのヤ……王子が、持病の癪がぶり返したとかで、王位継承権を放棄されるとかで。陛下が不在のため、誰も政務を取り仕切る者がおりません。つきましては、しろボン王子が、万事執り行って頂きたいと存じます」
「ええええ?」
しろボンが、困惑の叫びをあげる。
「だってオレ、王子じゃないよ!?」
「まだ正式に公表していないので、王子のままです。考えてもみてください。国王不在、王子隠居、誰も上に立つ者がいないと、国がどうなってしまうのか」
「だったらくろボンがやればいいじゃん!!」
「軍事政権ですか。悪くはないですが、だとして、誰が国を守りますか。もし宇宙外から邪悪な生命体がこの国を乗っ取ろうとやってきたら、いかがしますか」
「いや、だけど……」
「まあまあ」
先ほどから二人のやりとりを見ていたグレイボン博士が、間に入った。
「しろボン王子、やってみなさい。そりゃ責任は重大じゃろうが、君の周りには、心強い仲間がたくさんいる。立派な国にする、とか、思う必要はないぞ。君が世話になった人たちに、しあわせのおすそ分けをする、そのくらいでいいのじゃ」
「博士……」
グレイボン博士の説得に、しろボンは感じ入ったようだった。なるほど、とくろボンも心の中で頷く。
お気楽で抜けてて威厳もなくて、人の部屋でお菓子とか食い散らかしているような奴だけれども。だからこそ、つい、気を許してまうし、手を貸したくなる。くろボンとて、その自覚はなかったが、実際、こうしてかばうようなことをしてきた後では、否定はできない。
「ということで、帰りますよ、王子」
くろボンは、元の主人を、改めて敬称で呼んだ。
おうじ、という響きは、慣れているようでいて、新しいもののようにも聞こえた。あのエセ王子を呼ぶときは、全くそんなことはなかったのだけども、ことしろボンを呼ぶときは、不思議と丸い感じがする。
「あ、ちょっと待って」
しろボンは一度こちらに足を踏み出しかけたが、またすぐに後ろを向いた。さらには、ソファーにボンッと寝っ転がって、漫画を一冊手繰り寄せる。
「せっかくだから、もうちょっとだけ。今日は、普通の一般人でいさせて?」
ね? と上目がちにお願いされる。くろボンは言葉が継げない。呆れて。
おそらくこれを許してしまうあたり、自分も大概お人好しなのだろうとくろボンは思った。
