立派な王様になろうとしました。孤独だったからです。
自らが会いに行けなくとも、功績が広まることで、様子を伝えることができると考えたのです。
それからは、耕地改良に務めたり、街道の整備をしたり、国が豊かになるよう、いっぱいいっぱい頑張りました。
頑張るほど、皆は王様を讃えました。友人たちも、褒めてくれました。
いつの間にか、お城にこもるようになりました。そしてどんどん一人ぼっちになっていったのです。
王の噂は、かつて臣下だった彼にも届いておりました。
懐かしみこそすれ、尋ねることはしませんでした。
彼は自分を裏切り者だと思っていました。立派な王の傍らに、自分がいる資格などないと思っていたのです。
ある時、王様は倒れました。皆が心配しました。
働きすぎだと言われたので、休むことになりました。
王が寝っ転がっていても、世界は変わることなく動いています。
ようやく、臣下だった彼が尋ねてきました。
王は責めました。どうして今になって来たのかと。
こんなに、こんなに頑張ってたのに。
彼は言いました。自分には、『立派な王様』などいらなかった。
なんで。絶望の中で、王は問いました。ならば今まで自分は、なんのために頑張ってきたのか。
彼は答えました。
確かに、国には、『立派な王様』が必要かもしれない。
けれど、俺には必要なかった。
寝坊して、食い意地が張ってて、人に頼ってばかりいて、そんなお前で良かったんだ。
と。
王は泣きました。涙をぼろぼろ零しました。
こうして、立派な王様とその臣下は、役目を終えたのです。
くろしろってどうしても、『しろがくろを救う物語』になってしまうんですよねー。
その中で紋章編は、しろが王子である。いわば、生き方を縛られた『お姫様』でもある訳です。
ならば、紋章編くろしろにおいては、くろがしろを救うのも、一つの帰結だと思うんです。
という理屈抜きに、すれ違いと立場を超えさせたかっただけです。
紋章編くろしろは、今んとここれが一番しっくりくる結末かなー。百篇近く書いてようやくだよ!
